非接触リニア位置センサ

別件でホール素子の調査を進めていて、その中で電源回路アンプが内蔵されたホールIC(リニア出力タイプ)が目につきました。そして、どんなものかいなと少し試してみることに。

入手したのはいつもの秋月電子扱いの、A1324LUA-Tという部品です。
このiC.試し始めてから気付きましたが感度が5.0mV/Gとかなり高めです。出力は0G(ガウス)時に2.5Vで、磁力により0.3~4.7Vに変化します。つまり磁気としての検出範囲は、±220Gとなります。

ネオジム磁石などは小さいものでも1000Gとかの磁力を持つので出力が飽和してしまい使いにくかったりします。なのでフェライト磁石を使うのが無難です。(その分外乱を受けやすくなりますが)
精密位置検出アプリケーションは、旭化成エレクトロニクスのものですがこちらが参考になります。

今回は、この中の構成2を試してみます。

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基板上の右端の方にある、二つの黒い四角がホールICです。
このIC上を上下に磁石を移動させることで、磁場の変化をホールICで電圧に変換します。


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ホールICの出力電圧はアナログ信号(電圧)なので、デジタル信号に変換するために、
AD(Analog to Digital)コンバータを使います。
写真はAdafruit社の1085というボードで、ADコンバータICとしてはTexas Instruments社のADS1115という16bit対応のチップが搭載されています。またデジタル信号は、I2C(アイ・スクエア・シー)という信号線でシリアル出力されます。

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I2Cで出力される磁場の強さは、Arduinoというマイコンボードで受け取り、ノイズ除去やホールIC間の減算処理などを行います。(写真はArduino Microボード)

これをPCとUSB(COMポート)で接続し、位置情報を表示する形になります。


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ホールIC基板にはADコンバータも載せて、ケーブルでArduinoに接続します。

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テスト中の風景。ノギスのジョーに磁石とセンサをそれぞれ取付け、位置と出力電圧の関係を調べます。

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こちらの方が磁石の位置が判り易いですね。

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そしてグラフ化。横軸が磁石の位置で、縦軸が磁力の強さ(2つのセンサーの差分)を示しています。
このグラフの中央部分、まっすぐな部分を使って位置検出を行います。
まっすぐな部分は、磁石の移動量にたいしてリニアに磁力変化が捉えられていて位置計測にもってこいです。


今回ホールICの磁力検知部分の間隔は2.5mm程度、フェライト磁石のサイズは8x15xt4程度。
また磁石とセンサの垂直方向のギャップは約4mmです。


これでグラフの直線とみなせる範囲の磁石移動量が5mm程度、また直線部分のセンサ出力精度は大体ですが2um程度は確保できます。(0.6um/bit程度ですが、最下位ビットが落ち着かないため)
ただ電源がしょぼいと、センサとADコンバータのどちらがふれているのかははっきりわかりませんが、デジタル信号が安定しないので本格運用を考えると、電源はかなりシビアに考えないといけないようです。
グラフ作成後にキャパシタの追加や電源を変更(2端子レギュレータやLDO等)したので、安定して使えることがテストの結果わかっています。

スタディのための試作でしたが、ドローチューブの繰り出し量確認などに使えそうです。
これは例えばピント合わせ制御のクローズドループ化などが可能となるので、実用化できると面白いかも。
特にクレイフォード式接眼部だと滑りや、フォーカサーの入力に対してリニアに動いているか、バックラッシュの影響が無くせるので、オープンループ制御だと少し精度的な問題があるため、クローズドループの方が望ましいです。
ただ現在使用している電動フォーカサー(mFocuserPro2)のクライアントソフトとの連携は困難なので、ASCOM
経由で電動フォーカサーを動かす必要があり、色んな連携を行うのはなかなか難しそうです。


またこの位置センサは別の作業のためのスタディとして試作したものなので、ちゃんと形になるかは現時点では未定です。
最小測定単位が1umのダイヤルゲージは高価で、そこそこ大きいので取付けがかなり大変です。
またデジタル接続を行う場合はm接続や表示機/ソフトウェアは自作が必要となります。
そのためホールIC利用の位置センサは、コストパフォーマンス的にもいい方法だと思います。

さて続くのか!?


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この記事へのコメント

やまぎり
2018年04月08日 09:42
こんにちは!

磁力センサーって気付かないうちにお世話になっていると思うのですが、こう言う理屈だったんですね(理解してませんが^_^;)

私のC8NにもmyFocuserProを利用しているのですが、ドローチューブには滑りがあるので、これが利用できたら良いなぁって思います^ ^

ところで別件とか別の作業と言うのは、前から検討されている物に使うんでしょうか^ ^
2018年04月08日 12:06
やまぎりさん、
ホール素子って結構地味なセンサですよね。
最近だとスイッチとして、開閉センサやブラシレスモーターなどによくつかわれているかと思います。

うちもクレイフォードや電動フォーカサーの動きに不安があり、小型のアナログダイヤルゲージを仕掛けていました。
でもゲージを見ながらフォーカサーを操作するのは困難なので稼働率はかなり低かったんですよ。
使い物になるかもう少し追い込んでみますね。

別の奴は定電流駆動回路やアンプなどを開発中で、運動方程式たてたりという段階です。まだまだかかりそう...
kame
2018年04月08日 17:15
何やら私にはハードルの高い話で、あまり良く分かっておりませんが(^^;、天体撮影にピンと追い込みは超重要。なので神スキルをお持ちのminerさんならではの高度な改造ネタですが、モノにされたら参考にされる方って結構おられるのではと思います。(^^
Tez
2018年04月08日 19:22
いろいろやってますね。
磁石や半導体の温度特性やセンサーと磁石の距離変化など、いろいろ考える必要がありそうですね。
2018年04月08日 21:05
kameさん、
こいつは絶対座標を出すのが難しいですが、天文用途には向いているような気がします。
今回はセンサ特性を理解するための試作でしたが、実用化を念頭にもう少し進めてみましょか。

今時はネット上に情報がいろいろとあるので、アイディア次第で結構何とかなるものです。
2018年04月08日 21:11
tezさん、
磁石は磁力線の出方を把握していれば、センサ特性と合わせて大体はパラメータを決められます。
今回のケースでは2個の出力の差分を取るので、温度特性はキャンセルできるステキ仕様です。

ディメンジョン関係はこちらも参考にしました。
http://www.jiki-sensor.com/qa/qa170411.html

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